関連情報集

 ギラン・バレー症候群は稀な病気で、本人もご家族もこの病気に対しては「全くの素人」で、戸惑うことばかりだと存じます。この病気の体験者として私も、苦労しながらいろいろのことを学びましたが、それが現在闘病中の方に「情報」として少しでもお役に立てばと思い、ここに掲載いたしました。


 とくに、この病気に対してはリハビリが重要で、私の体験から「重症者の予後はリハビリ次第」と考えております。下記のテーマの中でも、「ギラン・バレー症候群とリハビリテーション」は是非ご覧ください。


ご家族・友人にできる介護・介助

一患者(重症)の体験からまとめてみました。参考にしていただければ、幸いです



1.まず、この「ギラン・バレー症候群」という病気の概要を知って、次のようなことを念頭に入れておくことをお勧めます(「ギラン・バレー症候群」の概要は、当HPの「ギラン・バレー症候群―患者、家族、友人のために―」が参考になると存じます)

〇 非常に稀な病気であり、遺伝性の疾患ではく、感染の怖れがないこと。

〇 症状は、一見、脳梗塞や脳出血に似て手足が麻痺し、場合によっては、話すことができませんが、麻痺は左右対称に起こっていること、意識は正常であること。

〇 症状や経過は様々ですが、ピークを過ぎれば回復に向かい、回復の可能性が高く、多くの場合、元の生活に戻れること。


2.ご家族や友人にとっても大変な出来事ですが、本人は次のような状況にあります。それを理解し、精神的に支えてあげてください。支えられるのは、ご家族や友人だけです

〇 もともと健康で普通に生活していた状態から、突然手足が麻痺し、自分ではどうすることもできなくなったため、大変なショックを受けています。

〇 まったく予想していなかった事態で、これからどうなるか不安に駆り立てられます。例えば、職場や仕事のことや家族の生活がこれからどうなるのかなど。

〇 重症の場合には、まったくの無力感・喪失感、時には恐怖と絶望(これから何が起こるか、手足は動かないままか、自分は乗り越えられるだろうか)、怒り(自分はどうしてこんな目に遭わなければならないのか)、欲求不満(家に帰りたい、他人に世話になるのはいやだ)などに陥りがちです。

〇 もし、手が麻痺すれば痒い部分を掻くこともできなく、症状が重ければ寝返りも打てません。人工呼吸器が装着された場合には、話すことも意思を伝達することもできません。意識がしっかりしているだけに、激しいフラストレーションと情緒不安に襲われます。


3.本人が精神的に落ち着き、自分の置かれている状況を受容し、この病気を克服できるようにご家族や友人が次のようなことをしてあげることをお勧めします
  
〇 主治医に、本人の前でこの病気と、その中でどの程度か(重症か軽症か)、今後の治療計画などについて説明をしてもらい、この病気はピークを過ぎれば回復に向かい、回復の可能性が高く、多くの場合、元の生活に戻れることを話してもらう。

 (私の場合、妻がギラン・バレー症候群は「治る脳梗塞」とも言われおり、「必ず治る病気だ」と言って私を励ましてくれました。入院直後の私は、とにかく、この言葉を信じ、自己を見失わずに危篤状態も乗り越えることができました。その後、この病気について調べる中で、必ずしもすべての患者が完全に回復し元の生活に戻れないことを知りましたが、それは、この病気を受け入れることができてからでした。
 ご家族や友人が「必ず治る病気だ」と断言し励ますことが、果たしてよいことかどうかは難しいところですが、「ピークを過ぎれば回復に向かい、回復の可能性が高く、多くの場合、元の生活に戻れる」ことを話してあげることは大きな励ましになると存じます。)

〇 ご家族や友人が、本HPの「闘病記(投稿)集」コーナーの中から闘病体験記をいくつか選んでプリントし、本人に読ませるか、読んで聞かせてあげてください。

 闘病体験記の内容は様々ですが、実際にこの病気になった患者自身が、症状や治療や回復過程がどうであったか、何を考えどう取り組んできたか、あるいは闘病や看病にあたって役立つ情報やノウハウ、アドヴァイスが沢山詰まっていますので、主治医の説明とは違った意味で、本人の置かれた状況がわかり、この病気を受容することができ、本人を勇気づけることになると存じます。

 なお、闘病体験記は、初めは年齢や症状が本人に近いもの、その中でもとくに回復が順調であったものを選ぶことお勧めします。

 (私の場合、妻が闘病体験記を書いたHPの中から回復が順調であったものを選び、何度も繰り返し読んでくれました。そのお陰で、何が何だか分からず、これからどうなるか不安な状態から、この病気を次第に受け入れることができ、勇気づけられました。)

〇 本人は、上記2のとおり、大変なショックを受け、激しいフラストレーションと情緒不安に陥りがちですので、職場や家庭のことなどは心配せず、安心して療養できる体制をつくってあげてください。

 (私場合、職場や社会にひとりとり残されていくという激しい焦燥感にかられましたが、妻が職場など関係先に連絡調整(手配)し、私には「これは神様が与えてくれた休息だと思い、ゆっくり休養しなさい」と言ってくれ、これが救いとなりました。)

〇 なお、本人は体が動かせなく、眠っているように見える時も、枕元の話し声はよく聞こえ、意識はしっかりしていますので、本人の周囲で本人を落ち込ませるようなことは絶対に話さないように注意してください

〇 この病気に対する治療(血漿交換や免疫グロブリン大量療法)は、末梢神経の損傷(麻痺)の進行を緩和あるいは抑制するものであり、麻痺した末梢神経を回復させる治療ではありません。麻痺した末梢神経を回復させるのは、自然治癒(自己回復力)とリハビリです。自然治癒(自己回復力)を高めるには、休養や栄養も必要ですが、「この病気を絶対に治すのだ」という強い信念が必要です。

〇 落ち込んでいる時や、これ以上できないまで精一杯頑張っている時に、さらに「頑張れ」と言うのは酷です。そうでなく、この病気を受け入れ、自分から前向きに積極的になれるような環境をつくりあげ、本人がこの病気を「絶対に治すのだ」という強い気持ちを持つように、優しく支えてあげてください。それができるのは、ご家族や友人だけです。その際、「闘病記(投稿)集」は、前述のように、激励のメッセージとなると存じます。

〇 「闘病記(投稿)集」の中から、本人に役立ちそうなものを選んでプリントし、本人に時間をかけ読んでもらうか、(押し付けがましくならないように)丁寧に何度も読んで聞かせてあげることをお勧めします。闘病記の結論だけを伝え、「皆が治っているから治る筈だ」とプレッシャーを与えることだけは、絶対に避けてください。とくにご家族が焦って患者を追い詰めないようにしてください
  
〇 なお、私事で恐縮ですが、「闘病記(本)」の中の拙著『生かされて』は重症で生死をさ迷った状態から生還を遂げた実体験を書きましたので、重症の方にとっては役に立つのではないかと存じます。


4.具体的な介護・介助

〇 安心して頼れるご家族や友人がただ一緒にいるだけで、精神的な支えになります。上記2のように、本人の置かれている状況を理解し、精神的に支えてあげられるのは、ご家族や友人だけです。本人の不安、恐れ、フラストレーションなどを、本人と分かち合う気持ちで受けとめてあげてください。

〇 この病気は看護や介助に手間がかかります。とくに手が麻痺している場合には、看護師だけではカバーしきれない面がありますので、ご家族や友人が側にいて細々とした身の回りの世話をしてあげると助かります。例えば、手が麻痺している場合には、頬(ほお)や背中が痒くて掻きたい時には、人の助けが必要です。

〇 本人が話せない場合には、五十音表を指し意思を聞いてあげる、あるいはよく使う言葉(例えば「体の向きを変えてください(体位交換)」、「痰(たん)をとってください」など)を書いた意思伝達カードをつくり、それを使い、イエス、ノーで聞き、意思の伝達をはかってあげてください。

〇 ご家族のことや最近のテレビや新聞の話題、できれば新聞のコラムや、それまで購読していた雑誌の記事などを読んであげてください。何しろ本人は情報に飢えています。本人の孤立感を和らげることにもなります。

〇 患者はいつでも日時、とくに時間が気になりますので、ベッドから時計やカレンダーが見にくい位置である場合には、夜間でも見える時計などをベッドの柵に用意してあげてください。
 (私の場合、体の向きが自分では換えられなかった(「体位交換」ができなかった)ため、ベッドの左右両方の柵それぞれに時計を付けてもらいました。)

〇 なお、重症で臥床が長期にわたる場合は、手足の筋肉が萎縮し関節が拘縮していくおそれがあります。それを防ぐため、臥床のままでリハビリ室に行けない段階でも、主治医の指示で理学療法士が病室に来て手足のマッサージと曲げ伸ばしを行う必要があります。
  しかし、実際には理学療法士に十分に行ってもらえない状況もありますので、理学療法士に初歩的なポイントを聞いて、とくに手首、指先、足首などのマッサージと曲げ伸ばしを、日に何回か、痛みを伴わない程度に丁寧にゆっくりと優しくしてあげてください。その後の本格的なリハビリによる回復過程で、後遺症を少なくすることに役立つと存じます。


5.終わりに

  数ヵ月の長期入院になることもありますので、看病されるご家族が体調を崩さないように、交代制で看病にあたられるなど、家族の方も健康に注意されてください。


                      (田丸 務 平成1712月記)


ギラン・バレー症候群患者の医療費(補助金や給付金など)


1.ギラン・バレー症候群は、特別な医療費の公的負担(=医療費補助)はありません

 現在、厚生労働省は、ギラン・バレー症候群を130ある難病(難治性特定疾患)の1つに指定していますが、難病(難治性特定疾患)のうち医療費が公的負担(=医療費補助)となる「指定難病」(平成27年1月に56種類から110種類に拡大され、医療費は全額公的負担から一部公的負担まで)には指定していません。
 また、ギラン・バレー症候群は、40歳以上の介護保険制度の対象になる疾患にも該当しません(40歳以上の脳梗塞や脳出血など、老化に伴って生じた要介護状態には、介護保険制度の対象となります。当然ですが、65歳以上であり、介護の必要があると認定されれば、ギラン・バレー症候群の患者も介護保険制度の対象となります)。


2. したがって、ギラン・バレー症候群の医療費負担は、一般の疾患(70歳未満)と同じ扱いとなります

(1) 健康保険組合による7割の支払い(本人負担は3割)、
(2) 月間の医療費が高額になった時、健康保険組合から高額医療費として一定額
   以上の支払い分の還付(高額療養費制度)、
(3) 年間の支払いが高額になった時、医療費控除を申請すれば所得税の還付、

 があります(あるだけです)。


 なお、重症で、四肢麻痺など身体の障害が「永続する」と認定されれば、「身体障害者手帳」を申請し、身体障害者として行政の福祉サービスを受けられます(当「関連情報」の「身体障害者手帳」を参照)。

 民間の医療保険に加入していれば、それぞれの定款に従って給付されますので、よく調べる必要があります。

 病院の医療相談室、社会福祉士(ケースワーカー)に相談すれば、医療費の支払い方法などいろいろ相談に乗ってくれると存じます。



 私(=当HP管理人)は以上のように理解していますが、何か欠けている点がありましたら、ご指摘くださいますようにお願いいたします。


                  (田丸 務 平成181月記 平成27年3月追記)


ギラン・バレー症候群とリハビリテーション

 〔ギラン・バレー症候群の重症患者の立場からリハビリの取組み方について体験的にまとめました。〕



1.麻痺した手足の機能を回復させるのは、自然治癒力(自己回復力)とリハビリテーションだけです

 ギラン・バレー症候群の医学的な治療(血漿交換療法や免疫グロブリン大量療法等)は、麻痺(末梢神経の損傷)の進行を抑制あるいは止めるものであり、損傷した末梢神経を回復させるものではありません。現在のところ、麻痺した手足の機能を回復(注)させるのは、自然治癒力(自己回復力)と、それを支えるリハビリテーションだけです。

 (注)本稿では、「神経の再生」ではなく、「手足の機能回復」として話を進めます。それは、神経、とくに末梢神経の場合には、それ自身単独で再生していくものでなく、萎縮した筋肉(主に手足の筋肉)と一体となってその機能が回復していくと考えるからです。

 自然治癒力(自己回復力)を高めるには、休養や栄養や体調管理も必要ですが、「病気を絶対に治すのだ」という強い信念が必要です(注)。しかし、ギラン・バレー症候群の場合、それとともに、自然治癒力(自己回復力)を支えるリハビリテーションが重要です。

 (注)「自然治癒力を高めるいちばんの基本は、「心の持ち方」です」(帯津良一著『ガンに勝った人たちの死生観』より)
  「患者自らが本気で病気を治そうとしなければ、病気は克服できるものではない」(バーニー・シーゲル著『奇跡的治癒とはなにか』より)

 そこで、以下、リハビリテーションを中心に述べていきます。


2.麻痺した手足の機能回復の一般的傾向

 話は戻りますが、ギラン・バレー症候群によって麻痺した手足の機能回復過程は、「闘病記(投稿)集」に見られるように人によって様々ですが、一般的には次のような傾向が見られます。

 〇 軽症であったほど、回復が早い

 〇 早期診断、早期治療がなされたほど、回復が早い

 〇 若く、体力があった方が、回復が早い

 〇 早くリハビリを始めた方が、回復が早い

 〇 自ら積極的にリハビリに取り組んだ方が、回復が早い

 多くの人の場合、上記のうち「軽症」、「早期診断、治療」、「若く、体力がある」ために、自然治癒力(自己回復力)が高いことから手足の機能は(軽いリハビリで)比較的順調に回復していきますが、そうでない場合には、自然治癒力(自己回復力)が低いため、リハビリが重要となってきます。


3.早くリハビリを始めた方が、手足の機能回復が早い

 「早くリハビリを始めた方が、回復が早い」についてですが、麻痺した手足の機能回復は、麻痺の進行が止まった早い段階(急性期・回復期)から、リハビリを行えばメキメキ回復しますが、かなり時間が過ぎ、維持期・慢性期に入ってからだと、いくらリハビリしてもなかなか思うように回復しなくなります。

 それは、手足の麻痺をそのままにしておくと、筋肉の廃用性萎縮が進み、関節が拘縮していくためです。神経、筋肉、骨等は使うことによって強化されますが、「1週間も寝込むと、歩けなくなる」とよく言われるように、筋肉は使わなければ急速に委縮していきます。同様に、関節も使わないと、結合組織が弾力性を失い、拘縮していきます。

 筋肉の萎縮が進むと、筋肉の末端まで神経が再生されにくくなる惧れがあります。また、関節の拘縮が進むと、いくら曲げ伸ばしをしても、痛いだけで、なかなか思うように曲げ伸ばしができなくなる惧れがあります。

 このため、重症で臥床が長期にわたる場合は、リハビリ室に行けない臥床したままの段階でも、主治医の指示で理学療法士(PT)が病室に来て手足のマッサージと曲げ伸ばしをしてもらう必要があります。

 ある先進的なリハビリ病院では、発症後早期に短期間で集中してリハビリを行う(一日中、理学療法士がついてリハビリを行う)ことにより画期的な成果をあげていると報道されていました(平成18.9.20 NHK総合テレビ「生活ほっとモーニング」)

 また、最近では「攻めるリハビリ」と称して、主に脳血管の障害の患者に対してですが、早い段階から患者ごとにリハビリ医、理学療法士、作業療法士、看護師、介護福祉士、社会福祉士(ケースワーカー)、病棟責任者などがチームを組み、患者の回復状況を見極めながら積極的にリハビリに取り組む病院もあります(酒向正春著『あきらめない力』より)


4.「絶対に回復させる」との信念で、自ら積極的にリハビリに取り組んだ方が、手足の機能回復が早い

 「自ら積極的にリハビリに取り組んだ方が、回復が早い」についてですが、ここが一番重要な点だと、私(=当HPの管理人)は思っています。

 リハビリは、主治医の指示のもとで理学療法士(PT)と作業療法士(OT)によってリハビリ室で、限られた時間で、ギラン・バレー症候群でない他の患者と一緒に行われているのが一般的です。しかし、与えられたメニューを受身で受けているだけでは、それだけで終わってしまい、麻痺した手足の機能はなかなか回復しなく、場合によっては麻痺が後遺症となる可能性があります。

 「絶対に回復させる」との強い信念で、早い段階から自ら積極的にリハビリに取り組んだ方が、回復が早く、後遺症を残さないことになると、私は自戒を込め思っています。

 まず、「絶対に回復させる」という強い信念が必要です。リハビリで「もうこの程度しか回復しない」と諦めたら、絶対それ以上は回復しません。精神論を振りかざす積りはありせんが、一般の病気でも、「治る」という強い信念を持った患者の方が、ただ漫然と受身でいる患者よりも回復が早いことはよく知られていることです。

 次に、脳梗塞や頚椎損傷などの脳神経や中枢神経の障害など他の患者のリハビリの場合、表現が適切でないかも知れませんが、手足の機能が回復しないことを前提に、装具を付け、使える方の手足を訓練し(例えば、今まで使わなかった左手で文字を書いたり、箸を使ったりする訓練をし)、日常生活に戻る訓練(QOL)が主です。これに対して、ギラン・バレー症候群患者のリハビリは、あくまでも麻痺した手足の機能回復が主であるべきだと、私は思っています。
 理学療法士(PT)や作業療法士(OT)は、ギラン・バレー症候群患者に対する経験が少ないことからリハビリに慎重で、ややもすると軽く済ませようとすることもあります。

 また、リハビリ室で限られた時間で、与えられたメニューを受身で受けているだけでは、リハビリの効果はあがりません。もちろん、与えられたメニューをしっかりとこなすことは大事です。しかし、少しでも手足が自分で動かせるようになったら、自ら積極的にリハビリに取り組まれることをお勧めします(注)。その際、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)に一人でもできるリハビリの方法を教えてもらい、簡単な器具やタオルなどを借りて病室で繰り返し行うのも1つの方法です。

 (注)河北リハビリテーション病院・奥山尚院長は「リハビリはほかの治療以上に本人のやる気が必要です。………我々が100回患者さんの腕を動かしても自分で1回曲げるのにかないません」と言っています(平18.2.21朝日新聞「医療はいま」第5部より)。

 今の自分には、どのようなリハビリが効果があるかを、寝ても覚めても真剣に考え、空いている時間は、休憩を入れてリハビリに取り組むことをお勧めします。回復していく姿をイメージし、1つひとつ効果を確かめながら、根気よくリハビリに取り組んでください。

 何より、麻痺した手足の機能を回復させるのは、医師や理学療法士(PT)や作業療法士(OT)ではなく、患者本人です。自分の体、体調を一番知っているのは、患者本人です。リハビリは、誰のためでなく、患者本人のために行うものです。「リハビリはウソをつかない」と言われています。やれば、やっただけの効果が必ずあります。

 当HPの「闘病記(投稿)集」には、以下のように、皆さんがリハビリに積極的に取り組まれた様子が書かれています。
当初のリハビリは辛かったです。自分で何でも出来るようになってからは人一倍リハビリしました。他の患者さんからは体育会系の方ですかと言われたくらいです。
回復の兆しが見えてからは、いろんなことをしました。リハ室だけでなく、病室でも。リハ室で教えてもらったことを繰り返し必死にやりました。………治すのは医師ではなく自分です。
リハビリは1日4時間近く行っていたが、他に空いている時間すべて自主トレーニングの時間に費やした。健康なときの生活を思い出し、自分で今できないことも自分でやるように努力した。    
先生が付いてのリハビリはしていませんでしたが、看護師さんがいないときを見計らいスクワットや腕立て伏せをコツコツとして、筋力の回復を図っていました。    

病院でギレン・バレー症候群のやれる事の治療が終わったと言われた時から、自分との戦いが始まっていたように思います。リハビリの指導員と一緒の時は勿論、ベッドの中で朝、目が覚めたときから誰かが手伝ってくれるのを待っているのではなく、指を動かしたり、脚を上げたりと少しでも多く沢山動かす事が早い回復の最高の手段です。    
理学療法士、作業療法士ともこの病気に対する経験が少なく教科書的な知識しかない場合もある。彼らは過度にリハビリをやると病気が再発すると信じており、極めて軽く済ませる傾向にある。ところが、筋肉には極めて多くの種類があり、それぞれを一つずつ、もしくはまとめて動かすためリハビリには相当の時間を要する。このギャップは、自主トレで埋めるしかない。    
 その他、皆様から投稿いただいた「闘病記」は、いずれも自らリハビリに積極的に取り組まれた実体験が綴られています。


5.リビリ上の留意点

 リハビリは、ただガムシャラにやればいいというものではありません。次のような点を留意して行う必要があります。

(1)自己の体力の回復状況を見極めたリハビリが必要です。とくに、リハビリ開始時においては、筋力訓練をやり過ぎると害があります(注)。筋力が落ちている時に、急に激しい筋力活動を行うと、かえって筋力が落ちることがあります(過用性筋力低下)。さらに激しい場合には、筋肉を損傷してしまうこともあります(過用性筋損傷)。また、一度に集中して訓練したり、翌日に疲れや痛みが出るほどしては、逆効果となります。自己の体力の回復状況を見極め、痛みや疲労が翌日に残らないように注意してリハビリを続けることが重要です。

 (注)これに関して、国際ギラン・バレー症候群財団『ギラン・バレー症候群一般向き手引き』では、次のように述べています。
 「過度の訓練はうずき、筋けいれん、痛み、筋力低下、筋肉疲労をきたし、神経支配が不十分となって一時的に再発を起こします。そのため訓練はある程度適切なペースを守って行うことが望ましいといえます。」

(2)関節の拘縮を防ぐためのリハビリは、初めは他の人に動かしてもらうことが多いですが、正常で動く範囲(可動域)いっぱいにゆっくりと動かす。とくに可動域の両端にいくほど、ゆっくりと力を入れながら動かして、そこで暫く止めます。それからゆっくりと戻します。これを繰り返します。急にグイッと早く動かしても結合組織は伸びないし、力が強すぎ、ムリに動かせば、結合組織が切れる惧れがあります。

(3)筋肉トレーニングは、筋肉の動きを意識してゆっくりと繰り返して行う。できるようになったら、少しずつ負荷を増やしながら、回数を延ばしていく。勢いをつけたり、反動で動かしたり、ただ回数だけ多く行っても効果はありません。

(4)訓練はバランスをとって行う。たとえば、腕を曲げる訓練と伸ばす訓練がある場合、回復期に、曲げる方だけの訓練をし、伸ばす方の訓練をしなければ、腕は曲げる方に特化し、伸ばすことができにくくなる惧れがあります。逆に、伸ばす方だけの訓練をしていると、曲げにくくなる怖れがあります(それは、曲げる筋肉と伸ばす筋肉はお互いに抑制される関係にあり、曲げる筋肉が働いている時は伸ばす筋肉が抑制され、それが繰り返されることにより伸ばす方の筋肉が退化していくからです。逆に、伸ばす訓練だけをしていると、曲げる筋肉が退化していきます)。

(5)少量頻回の原則。訓練は短時間(例えば1015分)のものを頻回(多くの回数。例えば一日5~8回)行い、その間に十分休憩をとると効果的です。それを飽きずに繰り返し繰り返し行うことが大切です。

 目標をもち、その目標に向かってできる範囲を広げレベルを高めるつもりで、毎日、根気よく継続して訓練していくことが大事です。その際、回復していく姿をイメージし、1つひとつ効果を確かめながら行ってください。


6.最後に

 最後に、当HPの「闘病記(投稿)集」の中から、ある患者様のメッセージを紹介します。

 入院中は医師と近代医学を信じて耐えてください。最悪を脱すると後は自分の力で回復する病気です。絶対諦めないで、寸時を惜しみやることは一つ、何も考えずにリハビリに没頭してください。これが少し前まで自由に走り回り普通だった皆さんに戻れる最良、近道の選択です。




追 記 私の場合

 私(=当HPの管理人)は、おそらく最重症(四肢麻痺、全面介助の患者)であるため、ここに掲載するのは躊躇しましたが、最重症の場合でもリハビリ次第でここまで回復する症例として、読んでいただければと、あえて掲載いたしました。
 私の「闘病記」の最後の部分にダブリますが、ご容赦ください。


 私は、発症1年3ヵ月後(平成14年9月)、リハビリ病院を退院し自宅に戻るにあたり、自宅をバリアフリーに改築し、電動ベッド、電動リフトを設置し、手すりを付けた。

 その時の私の状態は、四肢はまったく麻痺したままで、寝返りも打てず、ベッドから車椅子に移るのも、自分ではできず、妻に電動リフトで移してもらった。車椅子は、自走ではなく、押してもらった。食事は、両手をバランサーで吊り、その両手にはL字型に曲がったスプーンとフォークを装具につけてもらい、それによって介護皿に盛った食べ物を口に運んだ。飲み物には「とろみ」を入れ、ストローを使った。衣服の着脱も自分ではできず、トイレも電動リフトでシャワーチェアに移し、連れて行ってもらった。風呂は、裸にしてシャワーチェアに乗ったまま体を洗ってもらった。

 つまり、四肢麻痺の全面介助の状態であった。

 当初入院していた大学病院が自宅に近かったため、妻の運転する車で週1回リハビリに通うこととした。しかし、週1回40分程度、脳梗塞など他の患者と一緒のリハビリでは手足の機能は回復せず、むしろ両足の先が内側に反り始めた。

 発症後長期間経って筋肉の萎縮と関節の拘縮が進んだためで、これでは手足の機能の回復は難しくなってきたと考えざるをえなかった。この段階では、まだ自分でリハビリはできず、理学療法士(PT)にリハビリをしてもらう必要があった(他動式リハビリ)。しかし、妻に週1回以上病院に連れて行ってもらうことは、事実上できない状況にあった(週1回でも、全面介助の私を車に乗せ病院に連れていくことは、妻にとっては大変なことだった)。

 私は焦りを感じた。この時、「ギラン・バレー症候群は治ったが、後遺症として四肢麻痺が残った。このままでは、寝たきりになる。寝たきりなると、いたるところ廃用症候群となり、合併症を併発し、その先は………」と、あきらめざるを得なかったのかも知れない。しかし、私はどうしても残された人生を四肢麻痺、全面介助のままで送りたくはなかった。

 そんな私に幸運が訪れた。自宅に帰ってから半年後の平成15年3月、入院仲間Kさんの奥様から「訪問機能訓練」の制度があることを教えてもらった。私は直ちに依頼し、病院の週1回のリハビリとは別に、週4回受けることとした。

 これは、鍼灸マッサージ師が自宅に来て、医療マッサージとともに相対で機能訓練(実質リハビリ)をしてくれるものであった。私を担当したM先生は非常に熱心な方で、私の体の状況をよくみて毎回工夫して機能訓練をみっちりしてくれた。

 最初は、ベッドで寝返りも打てない状態であったので、仰向けのまま片足ずつ引き寄せ膝を立てる訓練から始めた。しかし、足に力がないため、足先を引き寄せるのに体が震え汗がにじんだ。次に、体をうつ伏せの状態にしてもらい、胴を持ちあげ四つ這いにしてもらった。それも体がすぐに崩れてしまうため、M先生は大変だったと思う。四つ這いの状態で、ベッドの上をハイハイしたり、片足ずつ曲げ伸ばしをした。

 歩行器をベッドの脇に寄せ、ベッドにつかまらせてもらい、立った姿勢を維持する訓練もした。しかし、これも体がすぐ崩れるため、維持できなかった。妻は、私を「糸の弛んだマリオネットのようだ」と言った。歩行器につかまり、歩く前の段階として足踏みもした。次に、足元にブロックを置き、それを階段に見立て、それへの上り下りもした。その他、考えられる訓練を次から次へと実行した。

 暑い季節に向かっていることもあり、毎日、汗だくになり、何度も着替えた。来る日も来る日もリハビリに励んだ。暫くすると、自分でもできるリハビリの範囲が広がってきたため、日中空いている時間は、休憩を入れながらひたすらリハビリに打ち込んだ。

 訓練が始まってから半年間で、驚いたことに、足腰が少しばかりしっかりとしてきて、脚に装具をはめ室内で歩行器につかまって歩けるまで、メキメキ回復した。自分でも信じられないほどの回復ぶりだった。

 この時なって、本当の意味でのリハビリの重要性が分かり、それこそ本気になって取り組んだ。

 私は、またしても、この時まで一番大事なことが少しも分かっていなかったのだ。

 私のように非常に重症で、診断が遅れ、治療が遅く始まり、しかも60歳(当時)と高齢である場合には、自然治癒力(=自己回復力)がきわめて低い。黙って待っていても、麻痺した手足や全身の機能がひとりでに回復してくるものではない。私にとっては、自ら積極的にリハビリに取り組む以外に回復の道はない。「もうこの程度しか回復しない」とあきらめたら、それで終わってしまう。

 自分には甘えがあったのではないか。誰かが治してくれると思っていたのではないか。これまで、本当に真剣になって、自分自身の問題としてリハビリに取り組んだと言えるだろうか。

 確かに、当初緊急入院した病院では生きることに精一杯で、次のリハビリ病院でも他動式リハビリについていくのに精一杯で、お世辞にも自からリハビリに取り組んだとは言えない。しかし、今さら後悔しても始まらない。今の自分の置かれた状況の中で最善を尽くすだけだ。

 ギラン・バレー症候群の回復過程は患者によって様々であり、神経内科医は患者を退院させるまでが主な仕事となっており、2、3年以上のリハビリの症例はほとんど持ち合わせていないため、確かなことは誰も分からないと思う。発症して半年以上経つと、急性期・回復期を過ぎてしまうため回復は難しい(リハビリの効果は現れにくい)と、一般に言われている。しかし、それは一般論であり、個人によって違う。やってみなければ分からない。また、ギラン・バレー症候群は、脳梗塞や頚椎損傷などの脳神経や中枢神経の障害とは違う。抹消神経の障害であり、リハビリによって回復する可能性がある。

 そこで、「自らの力で絶対に回復させる」という強い信念で、リハビリの方法を毎日、寝ても覚めても真剣に考え工夫し、粘り強く続けていけば、維持期・慢性期になっても、たとえわずかずつでも着実に回復していくのではないか。

 私は、来る日も来る日も(もちろん、日曜も祝日も)、回復していく姿をイメージし、1つひとつリハビリの効果を確かめながら、「とにかくリハビリに命を懸けねばと、朝から晩まで、寝ても覚めても、阿修羅のごとくリハビリばかりやった」。

 発症5年後(平成18年6月)には、手首、足首から先に麻痺が残っているため介助されながらも、何とか日常生活を送れるまでに回復した。衣服の着脱や風呂では一部介助を必要としているが、食事は介助箸と普通のスプーンで食べることができる。普通の箸を使うことや筆記具を握ることはできない。トイレは一人で行ける。歩く方は、室内では伝い歩き、外では自走用の車椅子で、リハビリにはロフストランドステッキを握って歩く。基本的には、現在でもこの状態。

 発症後10年後(平成23年6月)には、自分で十分にリハビリができるようになったので、訪問機能訓練は「卒業」させてもらった。M先生には大変お世話になった。「命の恩人」だと、今でも感謝している。病院のリハビリは、例の「リハビリの日数制限」で既に取り止めていた。

 現在、()腹筋、背筋、スクワット、腕立て伏せ、鉄亜鈴を使っての腕、肩の運動などを取り入れた、自己流のストレッチと筋力トレニーング、()ロフストランドステッキを握り、自宅近くにある広場を歩き、()階段を4つ這になって上り下りをしている。これらを一日何回も実行している。リハビリと総合的な体力づくりである。

 食事には気をつけ(良質の蛋白質、緑黄野菜、海草を取り、塩分、脂肪は避ける。規則正しく、腹八分目を守る)、酒は入院以来一滴も飲まず、夜はぐっすり眠り、ストレスはまったくない。絶好調である。薬は、ビタミン剤以外は服用していなかったが(花粉症の季節には、ステロイド系でない薬は飲む)、最近になって、医師の勧めで軽い降圧剤を飲んでいる。

 回復も維持期・慢性期に入ったような気もするが、これからも回復していくことを信じ、毎日リハビリに励んでいる。たとえ回復が難しくても、体力をつくり、体調を整え、後遺症と「うまくつき合う」方法があると信じているからである。





 私がここで一番言いたかったことは、「ギラン・バレー症候群患者は自ら積極的にリハビリに取り組むこと」、「とくに重症者の予後はリハビリ次第で決まる」ということです。

 「ギラン・バレー症候群患者はどのようにリハビリに取り組むべきか」を説いた本や資料は、私の知る限り、一冊もありません。わずかにMonthly Book Medical Rehabilitation No.56「ギラン・バレー症候群 リハビリテーション実践マニュアル」(全日本病院出版会刊)がありますが、これは「ギラン・バレー症候群の医学的説明」と、いくつかの「患者の回復過程の記録」と、「一般的なリハビリ方法」を寄せ集めた冊子です。その他には医学中央雑誌協会のwebサイト(有料)で探せば、回復過程を医学的に解説したものが出てくるかも知れませんが、それらはいずれもギラン・バレー症候群患者の立場から「リハビリにどのように取り組むべきかについて」説いたものではありません。

 ギラン・バレー症候群患者の立場から「リハビリにどのように取り組むべきか」で一番参考になったのは、皆様からいただいた、実体験にもとづいた「闘病記」でした。私は、皆様の「闘病記」に励まされて十年以上にわたってリハビリを続け、ここまで来られました。

 現在闘病中の方やそのご家族におかれましては、当HPの「闘病記(投稿)集」からリハビリについてのメッセージやアドヴァイスを是非読み取っていただき、役立ててくださることを心から願っています。

                 (田丸 務 平成182月記、平成27年2月加筆)


リハビリの日数制限とギラン・バレー症候群



(あらまし)

 平成1841日に診療報酬が改定され、脳血管疾患等のリハビリは発症後180日までとされました。ギラン・バレー症候群は、この「脳血管疾患等」にも入っていますが、リハビリ日数制限の「除外規定」の疾患にも入っているため、「治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合」には、そのまま継続してリハビリを受けることができるとされました。

 現在病院でリハビリを受けられている方で、もしリハビリの日数制限の話がありましたら、ギラン・バレー症候群が「除外規定」になっていることを承知のうえ、自分の症状にあった日数のリハビリをしていただくように、主治医(と理学療法士、作業療法士)にお願いしてみてはいかがかと存じます。

 なお、リハビリ算定日数の起点は、実施日(平成18年4月1日)直前になって、「発症日」から、331日以前に発症等した患者については「平成18年4月1日」に変更されました。


(以下、若干詳しい説明)

 平成18215日、中央社会保険医療協議会(中医協)は厚生労働大臣に「平成18年度診療報酬改定」を答申しました。この中で、リハビリについては「長期にわたり効果が明らかでないリハビリテーションが行われている」との指摘を踏まえ、疾患ごとにリハビリの算定日数上限を設定するとしました。

  脳血管疾患等のリハビリ………発症後180日まで
  運動器のリハビリ    ………発症後150日まで
  呼吸器のリハビリ    ………発症後 90日まで
  心大血管疾患のリハビリ………発症後150日まで

 この段階で、厚生労働省の議事録では、「厚生労働大臣が定める患者であって、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断できるもの」は除外することとされました。
 また、リハビリの集団療法は廃止され、個別療法のみとされました。
 詳細は下記HPの1415ページをご覧ください。
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/02/dl/s0215-3u.pdf


 上記答申にもとづき、3月6日、厚生労働省は局長通達「『診療報酬の算定方法を定める件』等の改正等について」を地方社会保険事務局長等に発しました。
 同通達の中で、リハビリは上記答申と同じ内容となっています。
 詳細は下記HPの17ページをご覧ください。
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/03/dl/tp0314-1a01.pdf


 また、同日付で、上記通達の細目を定めた課長通達「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」も地方社会保険事務局長等に発しました。
 同通達の163ページでリハビリの算定日数上限を設定した疾患別表の「脳血管疾患等疾患」(=算定日数上限180日)の「ウ」に「多発性神経炎(ギランバレー症候群)」が示されましたが、同通達の163および164ページで「除外規定」として「治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合であって、別に厚生労働大臣が定める疾患」の「カ」に「難病患者リハビリテーション料に規定する患者」とされました。
 詳細は下記HPの163ページおよび164ページをご覧ください。
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/03/dl/tp0314-1b01.pdf


 この「難病患者リハビリテーション料に規定する患者」とは、平成16227日厚生労働省告示第50号「特掲診療料の施設基準等」の別表第十に掲げる28の疾患をいい、ギラン・バレー症候群はその1つとなっています。
 詳細は下記HP「厚生労働省法令等データベースシステム」の「法令探索」の「本文検索へ」をクリックし、現われた画面に「難病患者」と「リハビリテーション料」の項目を入れて検索すると、告示「特掲診療料の施設基準等」が現われます。同告示の第九の五の(2)のイに「難病患者リハビリテーション料に規定する疾患」は「別表第十に掲げる疾患」としてあり、2ページに別表第十「難病患者リハビリテーション料に規定する疾患」が出てきます。その23番目にギラン・バレー症候群が掲載されております。
 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/index.html


 以上を要約しますと、ギラン・バレー症候群は、リハビリの算定日数の「除外規定」として「治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合」には、そのまま継続してリハビリを受けることができるとされました。


 上記については病院、医師会、理学療法士会等に通知され、ギラン・バレー症候群が「除外規定」となっていることは周知されている筈です。

 ここで、「医学的に判断」するのは、主治医です。実際にリハビリをしてくれるのは、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)ですが、彼らは主治医(ギラン・バレー症候群の場合は神経内科医、脳梗塞の場合は脳外科医、骨折の場合は外科医)の指示の下でリハビリを行うこととなっています。
 ある新聞(平成18428日付朝日新聞朝刊)では、「除外の対象となる疾患」は「主治医が医療上必要と判断した場合、上限日数を超えても保険でリハビリができる」と説明していますが、一方で「除外規定も『主治医の判断』がどこまで認められるか不明だ」と危惧していました。
 また、ギラン・バレー症候群の回復過程は、当HPの「闘病記(投稿)集」で見られるように様々ですので、リハビリがいつまで必要かは患者によって異なっています(私の場合は、発症2年経過後からリハビリによりメキメキ回復してきました)。
 さらに、ギラン・バレー症候群は稀な病気であることから、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)にとっては、回復過程がよく分からないということもあります。


 そこで、現在病院でリハビリを受けられている方で、もしリハビリの日数制限の話がありましたら、上記をよく承知のうえで、自分の症状にあった日数のリハビリをしていただくように、主治医(と理学療法士、作業療法士)にお願いしてみてはいかがかと存じます。


 なお、リハビリ算定日数の起点は、実施日(平成18年4月1日)直前になって、「発症日」から、331日以前に発症等した患者については「本年4月1日」に変更されました。

 詳細は下記HP「平成18年度診療報酬改定に係る疑義解釈資料」の1516ページをご覧ください。
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/03/dl/tp0314-1c01.pdf


追 記 医療保険によるリハビリと介護保険によるリハビリ

 この「リハビリの日数制限」の狙いは、端的に言えば、医療費削減のため、医療保険によるリハビリは、機能改善が望める急性期、回復期のみに限定し、維持期・慢性期のリハビリは医療保険ではなく、介護保険で扱ってほしい、外来リハビリが長くなった患者は、介護施設の通所リハビリ(デイ・ケア)に移ってほしいということにあります。

 ギラン・バレー症候群は、介護保険制度の対象に該当しないため、65歳未満のギラン・バレー患者は、介護保険によるリハビリや介護施設の通所リハビリを受けることはできません(40歳以上の脳梗塞や脳出血など、老化に伴って生じた要介護状態には、介護保険制度の対象となり、介護保険によるリハビリは受けられます。当然ですが、65歳以上であり、介護の必要があると認定されれば、ギラン・バレー症候群の患者に限らず介護保険制度の対象となり、介護保険によるリハビリは受けられます)。

 なお、医療保険によるリハビリと介護保険によるリハビリとを併用して受けることは、できません。



 私(=当HP管理人)は以上のように理解していますが、何か理解に不足している点がありましたら、ご指摘くださいますようにお願いいたします。


               (田丸 務 平成186月記、平成2612月加筆)


リハビリ病院への転院 リハビリ病院選び


〔転院の必要性〕

 ギラン・バレー症候群の患者は、一般に、治療段階が終われば、リハビリ病院への転院が求められます。

 ギラン・バレー症候群の患者を治療できる病院は、神経内科のある大病院であり、救命救急センターを備えた、高度の専門的医療を担っている「特定機能病院」、あるいは「一般病院」でも、急性期疾患の患者の医療を担っている大病院の場合が多いと思われます。そのような病院は、地域における高度の医療を担っているため、急性期の治療が一段落した段階で、主治医(あるいは病院側)から転院を求められることがあります。

 ギラン・バレー症候群の治療(血漿交換療法や免疫グロブリン大量療法等)は、あくまで麻痺の進行(末梢神経の損傷)を抑制、あるいは止めるもので、麻痺した手足の機能を回復させるものではありません。麻痺した手足の機能を回復させるのは、自然治癒力(自己回復力)とそれを促すリハビリです。「特定機能病院」や「一般病院」は、本来、リハビリを専門に行う病院ではありません。

  また、病院側としても、入院期間が長くなるに従って、病院の受け取る診療報酬が減額されるため、経営上からも入院が長期化することを望まない事情もあります。

 このため、治療段階が終われば、リハビリ病院に転院することが求められるわけです。

 もちろん、軽症で、当初の病院で麻痺した手足の機能が回復し、退院できれば、転院の必要はありません。


私の場合

 10年以上前の話になりますが、私(=当HP管理人)の場合も、人工呼吸器は外れたが喉が切開されままで、食事も経管栄養で、四肢麻痺の全面介助の状態の時に、主治医からリハビリ病院への転院を求められ、大変困りました。

 主治医の説明では、「特定機能病院」として、私に対して最新の医療技術で十分すぎるほど治療をし、治療段階が終ったので、後はリハビリ施設のある病院に転院してリハビリを受け、手足の機能を回復させるように、あるいは麻痺したままでも日常生活ができるように訓練をして欲しい。もし、それも無理であれば、療養型病床群に転院するか、自宅に退院して欲しいということでした(このようにはっきりと言いませんでした。多分に私の推測が入っています)。

 主治医は、医療相談室の社会福祉士(ケースワーカー)を紹介してくれ、その人が妻とともに、
1 家族が通えること、
2 ギラン・バレー症候群の患者を受け入れたことがあり、神経内科医がいて、リハビリの施設が整い、熱心な療法士(理学療法士(PT)や作業療法士(OT))が揃っていること、
3 (私が四肢麻痺の状態で、家族が看護や介助に毎日通えないことから)、病院側で看護や介助が十分になされること、
の条件のあったリハビリ病院(もっとも(3)は十分でなかったのですが………)を一緒に調べてくれました。妻は候補のリハビリ病院を見学し、病院の責任者と相談し、そこを転院先と決め、「紹介状」をもって転院依頼に行きました。

 また、当初の病院は、転院先のリハビリ病院が受け入れるまで、私を置いてくれました。


転院前でもリハビリを
 手足の神経、筋肉、骨等は使わないと、筋肉の廃用性萎縮が進み、関節が拘縮していきます。このため、最近では、いずれの病院も、急性期の治療中であっても、早い段階から、リハビリが行われるようになりました。

 そこで、リハビリ病院に転院する前でも、リハビリをしっかりと受けるとともに、ご家族の方が手足のマッサージや曲げ伸ばしを優しくしてあげることが、その後の回復につながると思います。


転院にあたって

 転院を求められた場合ですが、主治医に
1 治療は現在どの段階か(症状の進行、回復状況も含めて)、
2 本人がどの程度回復したら転院できるのか、
3 どのような病院へ転院したらよいか、
などを率直に相談されたらいかがでしょうか。
 なお、病院は機能別に次のように分けられます。
特定機能病院……高度の専門的医療を提供する病院
一般病院…………一般的治療が可能な患者を対象とする病院
リハビリ病院………リハビリを専門とする病院
療養型病床群……老人や長期入院のための専用病棟
 転院に際しては、主治医に「紹介状」(診療経過や検査所見などを記載)を書いてくれるように依頼することをお勧めします。「紹介状」があれば、転院先の病院にスムーズに受け入れてもらえ、再検査も一部省略されます。


リハビリ病院選び

 リハビリ病院は実に様々です。転院先のリハビリ病院を選ぶにあたっては、インターネットで、「リハビリ病院」と「所在地名」で検索し、病院名をリストアップし、その病院の評判を調べ、実際に見学させてもらい、病院の責任者と相談して、決められてはいかがでしょうか。

 リハビリ病院を決めるにあたって、次のようなポイントがあげられます。
積極的にリハビリをしてもらえるか(最近は「攻めるリハビリ」と称して、患者ごとにリハビリ医、理学療法士、作業療法士、看護師、介護福祉士、社会福祉士(ケースワーカー)、病棟責任者などがチームを組み、患者の回復状況を見極めながら積極的にリハビリに取り組む病院があります)。
外観ではなく、病室の雰囲気や患者の表情はどうか(患者は生き生きとしてリハビリに取り組んでいるか)。 ベッド上での座位の状態や車椅子の患者が多く見られるか(患者の自立を促す体制となっているか)。患者が自主トレを行っているか。
特殊浴槽・ギャッジベッド・車椅子用トイレ・手すりスロープなどの必要な設備が十分に整っているか
必要な医療に対応してもらえるか(神経内科がなくても、内科でも可)
家族が通いやすい距離か
保険外負担が提供されるサービスに見合う納得のいく金額か、長期入院の場合でも負担しきれるものか


 「闘病記(投稿)集」に投稿された、医療従事者であるO..さんは、休日でもリハビリをする病院、外来リハビリに力を入れている病院選びについて、「掲示板」で次のように書いておられました。

 「休日リハビリテーション提供体制加算」している病院が休日でもリハビリをしてくれる病院で、「外来リハビリテーション診療料の施設基準の認定」を受けている病院が外来リハビリに力を入れている病院であると思います。

 これらの病院は、インターネットで「休日リハビリテーション提供体制加算」と「所在地名」で検索し、各病院のホームページに入り、そこで「施設基準の認定項目」を調べれば、判明します。

 また、病院の総合的な外部評価については公益財団法人「日本医療機能評価機構」が「病院機能評価基準結果の情報」を公表していますので、こちらを調べられても、参考になるかと思います。
「日本医療機能評価機構」による「病院機能評価基準結果の情報」
http://www.report.jcqhc.or.jp/index.php


 ..さんは、上記リハビリ病院選びについて(当方からの依頼に応じて)下記のとおり補足説明文を寄せられました。

 GBSの初期治療が神経内科の専従する急性期病院で行われた後、リハビリテーションを行うために転院を促されることが多いかと思います。

 この場合、病態や病状、重症度を鑑みて病院選別がなされるべきだと思いますが、多くは、回復期リハビリテーション病棟を有する病院を紹介されることと思います。この回復期リハビリテーション病棟は診療報酬の点から1、2、3に区分されており、この順に人員や設備などより充実したサービスが提供できる内容となっています。回復期リハビリテーション料1を算定している病院では、休日もリハビリテーションを行うことが算定の用件となっています。

 また、GBSのリハビリは脳血管疾患等リハビリテーション料の区分のなかで行われますが、こちらも1、2、3の区分があり、療法士の数などに施設基準がもうけられています。

 施設基準のみから見ますと、回復期リハビリテーション料1と脳血管疾患等リハビリテーション料1を算定している病院がより充実した内容のリハビリテーションを提供できる人的、物的資源を有していると言ってよいかと思います。

 この中でも、療法士の人数が多い施設が、療法士の1日あたりの受け持ち時間が限られているため、より濃密なサービスを受けられる可能性があります。なお、理学、作業、言語聴覚療法の各療法士が専従しているかを確認する必要があります。

 これら、病院の地方厚生局などへの届出事項については、病院のホームページに記載してあることが多いのですが、病院内の目立つところに、保険医療機関および及び保険医療養担当規則に基づく厚生労働大臣が定める掲示事項として掲げることが病院に義務付けられていますので、これを参考にされるとよいかと思います。

 加えて、病院の外部の環境やアクセス、駐車場、アメニティー(インターネットができるかとか、ラウンジがくつろげる所か患者図書館があるか等)や看護や介護のきめの細かさについては、実際に訪問して感じてみることが重要であると思います。

 〔 なお、本文掲載にあたっては、O..さんに校閲いただきました


 以上、ご参考になれば、幸いです。

               (田丸 務 平成18年2月記、平成2612月加筆)


身体障害者手帳 


 ギラン・バレー症候群の患者が退院した時、すでに障害が回復し社会復帰ができれば問題はありませんが、後遺症があり職場に復帰できない場合、あるいは自宅で長期療養をせざるをえない場合には、行政の福祉サービスが必要になります。

 しかし、厚生労働省は、ギラン・バレー症候群を難病(特定疾患)に指定していますが、難病(特定疾患)のうち、医療費が公的負担となる「指定難病」には指定していません。また、ギラン・バレー症候群は、40歳以上の介護保険制度の対象にも該当しません(当然ですが、65歳以上であり、介護の必要があると認定されれば、ギラン・バレー症候群の患者に限らず介護保険制度の対象となり、行政の福祉サービスが受けられます)。

 このため、65歳未満の後遺症のあるギラン・バレー症候群患者が行政の福祉サービスを受けるには、「身体障害者手帳」が必要となります。

 この手帳は、身体障害者福祉法にもとづき、指定医(知事の指定した医師)が障害が「永続する」と認定した診断書をそえて、市町村の福祉課を通して知事に申請することによって交付されます。手帳には、「再認定」を(1~5年後に)要するものと、要さないものがあります。

 受けることのできる福祉サービスとしては、(1)身体障害者居宅支援事業、(2)施設サービス、(3)補装具の支給などがあります。その他、身体障害手帳の等級により、各種交通機関の運賃割引や、税金の控除、公営住宅への優先入居などの優遇措置があります。世帯の所得によっては、手当て、医療費の助成なども受けられます。

 この「身体障害者手帳」の制度仕組み、申請方法、等級の認定基準などは全国で統一されていますが、福祉サービスの内容は市町村により若干異なります。このため、インターネットで「身体障害者手帳」と「市町村名(あるいは県名)」で検索すると、受けられる福祉サービスの内容が分かります。

 また、「身体障害者手帳」の交付手続きについては、インターネットのほか、病院の医療相談室、社会福祉士(ケースワーカー)でも分かると思いますが、最寄りの市町村の福祉課に行けば、詳しく教え、相談に乗っててくれる筈です。

 なお、市町村の福祉課への申請は、本人か家族が積極的に相談に行くことが、肝要です(最近は変わったかも知れませんが、ただ待っているだけでは、市町村の福祉課は何もしてくれません)。

 管理人あての皆様からのメールや「掲示板」への書き込みを拝見すると、ギラン・バレー症候群患者の認定にあたって、指定医は「治る病気であるから」と、なかなか認定してくれなかった、認定の基準が厳しかったという意見もありました。

 また、重い後遺症のある方でも、身体障害者手帳の交付を受けることは「障害が永続する」ことを認めることになるので、申請することに抵抗を感じたという人もいました。

 しかし、必要があれば、申請することをお勧めします。私(=本HP管理人)の場合、10年以上前になりますが、自宅のバリア・フリーのための改修費の一部、電動ベッド、移動用リフト、車椅子等の購入のための補助を受けることができました。



追 記 1―障害の「等級」と認定について―

 身体障害者手帳の障害程度の「等級」については、本来は厚生労働省の下記の通達で調べるべきですが、少し分かりにくいと思われます。

〇「身体障害者障害程度等級表」(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)および「身体障害者障害程度等級表の解説」(平成15110日付障発第0110001号)
 〔PDF方式のためURLをここに表示できません。上記の項目で検索してください〕

 それに比べ、下記のホームページに掲げられた「身体障害者障害程度等級表」の「肢体不自由」が比較的読みやすい表となっています。





「高度障害」と「生命保険支払い」― 

 当HPの「掲示板」に、「民間の生命保険に加入しており、その定款に「高度障害状態」の項目があり、死亡と同等に保険金がおりるとなっていたが、身体障害者1級の「高度障害」の認定を受けたにもかかわらず、保険金がおりなかった」との書き込みがありました。

 これに対して、重症患者で、身体障害1級の「高度障害」の認定を受けた方(その家族)から、「高度障害状態」として保険金がおりたとする報告が複数寄せられました。

 そこで、この問題について、「高度障害」と「生命保険支払い」を項目としてインターネットで検索したところ、下記のサイトで比較的分かりやすく説明されていました。

公益財団法人生命保険センターの「生命保険に関するQ&A

図解!生命保険の用語集の「生命保険約款で想定する高度障害状態とは」

教えてgooの「納得できない高度障害について

 これによりますと、「国が定める身体障害福祉法の身体障害等級1級の状態は、保険会社の高度障害状態を規定する文言に非常によく似ていますが、まったく別物だと考えてください」とあり、生命保険の「高度障害状態」とは、「死亡に匹敵する損失」と位置づけされているだけに、非常に重度の状態を指しているようです(「死亡に匹敵する」ほどの重症な場合には、「高度障害状態」と認定される可能性があります)

                 (田丸 務 平成1511月記、平成27年6月加筆)


訪問機能訓練 


 退院後自宅で療養し、リハビリに通院できにくい場合、はり灸マッサージ師が自宅を訪問し、行ってくれる「訪問機能訓練」が大変役立ちます。

 本来、この「訪問機能訓練」は、主治医のもとで、はり灸マッサージ師が行う「医療マッサージ」の一環として行われるものです。

 「医療マッサージ」であるため、公的医療保険の対象となりますが、そのためには主治医の3ヵ月ごとの「同意書」が必要となります。

 私(=本HPの管理人)の場合、リハビリ病院退院後に中間法人東京都はり灸マッサージ師会八王子・日野はり灸マッサージ師会在宅ケア部にお願いし、はり灸マッサージ師に週4回自宅に来てもらい、「訪問機能訓練」を受けました。

 私を担当したM先生は非常に熱心な方で、私の体の体調を見極めながら毎回工夫し、マッサージとともに「機能訓練(実質リハビリ)」をみっちりしてくれ、半年間の訓練のお陰で、寝返りもできない、ほぼ全身麻痺の状態から歩行器を使って歩けるまでメキメキ回復しました(この間の事情については、「ギラン・バレー症候群とリハビリテーション」の〔追記1〕をご覧ください)。 

 この「機能訓練」の効果は、はり灸マッサージ師によるところが大きいですが、本人の自発的な努力が大事です。受身で漫然と療法を受けているだけでは、それだけで終わってしまいます。マッサージ師による「機能訓練」の時間は限られますので、手足の回復のためには自ら何をすべきかを考え、体調を見極め、休憩を入れながら日中すべてをリハビリに打ち込む覚悟が必要です。

 なお、鍼灸マッサージ師による「訪問機能訓練」は、病院の医師も理学療法士も知りませんでした。各地域にも同じような組織(鍼灸マッサージ師会)があると思います。市町村の福祉課が医療保険の請求窓口となっていますので、同課に聞けば地域にある組織を教えてくれる筈です。





追 記

 現在では、「訪問機能訓練」が、下記のように、HPにも紹介されるようになりました。
「訪問マッサージ紹介センター」

「東京ヘルスケア機能訓練センター」


 なお、この「訪問機能訓練」は、あくまでも「医療マッサージ」の一環として行われるものですので(主治医は「医療マッサージ」を受けることに「同意」するだけですので)、主治医に「同意書」をお願いする際には、その点を十分に留意してください。
 また、「同意書」の書類は、鍼灸マッサージ会の方で準備してくれます。

                (田丸 務 平成1511月記、平成27年1月加筆)


ソフトキーボード(手の不自由な人のためのパソコンソフト) 


 ギラン・バレー症候群の後遺症で手が不自由でパソコンを操作しにくい方のためのソフトが、ウィンドウズに内臓されています。

 私(=本HP管理人)の場合、四肢麻痺のため普通にはパソコンを操作できませんが、わずかに動く左手の薬指一本で、今もこの文章を打っています。

 ウィンドウズを次のように操作すれば、画面に小さい長方形のキーボードが表示されます。そのキーボードの1つひとつの文字をマウスで左クリックすれば、普通に打鍵したと同じように入力できます。

画面最下段ツールバー右側の言語バーの中からIMEパッドを左クリック

ソフトキーボードを左クリック

キーボードの表示


                    (田丸 務 平成1511月記)


ガンマ・グロブリンとC型肝炎ウイルス感染について



 2007年(平成19年)1228日の各新聞にフィブリノゲンだけでなく、ガンマ・グロブリンからもC型肝炎ウイルスが検出されたと報じられていました。

 ガンマ・グロブリン(免疫グロブリン、IVIG)は、ギラン・バレー症候群の治療にも使われますので、C型肝炎感染の危険性が心配されるわけです。

 しかし、記事をよく読みますと、C型肝炎ウイルスが検出されたガンマ・グロブリン製剤は70年代のものであり、その後C型肝炎ウイルスが検出されたため、89年以降は検査が導入され、「92年以降は精度の高い検査法が導入され、危険性はほぼなくなった。処理方法も進んでおり、安全性は格段に高まっている」とされています。厚生省(当時)がガンマ・グロブリンをギラン・バレー症候群の治療薬として許可したのは、2000年です。そこで、皆様におかれては感染の問題ないと思います。

 それでもご心配の方は、入院治療を受けた病院あるいは保険所などで肝炎検査を受けられますので、感染の有無を確かめられてはいかがかと存じます。

 (私自身(=管理人)は、2001年に3クール(1クール5日間)のガンマ・グロブリン投与と、さらに13回の血漿交換を受けていたため、入院治療を受けた病院で1年ほど前に詳しく検査してもらいました。その結果、感染してはいませんでした。)

 1228日付「朝日新聞」朝刊に本件について詳しく報じられていましたので、下記のとおり転載いたします。ご高覧ください。


                        (田丸 務 平成1912月記)



 2007年(平成19年)1228日付「朝日新聞」朝刊1面および30 

肝炎ウイルス グロブリンからも検出
70年代製2本から はしかなど治療
 はしか治療などに使われた70年代の血液製剤「免疫グロブリン製剤」から、C型肝炎ウイルスが検出されたことが分かった。薬害C型肝炎訴訟では、フィブリノゲン製剤と血液凝固第9因子製剤を投与された人を対象に救済法案がつくられることが確実になったが、肝炎感染はさらに数種類の製剤で起きた恐れが出てきた。

 長井辰男・北里大学名誉教授(法科学)が、約30年前から冷凍保管している旧ミドリ十字(現・田辺三菱製薬)の製剤を調べた。外部の検査機関でも再確認した。

 その結果、77年製造の「人免疫グロブリン」(ガンマグロブリン)製剤2本から、いずれもC型肝炎ウイルスが検出された。また、臨床試験用の76年「プラスミン」から、C型肝炎ウイルスが出た。

 旧ミドリ十字は遅くとも75年にはグロブリン製剤を発売。適応は広く、当時の使用説明書では、はしかや重症感染症、小児の気管支ぜんそく、水痘、ポリオ、帯状疱疹の治療、輸血後黄疸の予防に使うと記載。

 また80年代半ばからは川崎病の子供対し、冠動脈瘤の予防に使用。A型肝炎治療などにも使われる。現在も同成分の製剤が複数販売され、今年度の供給量見通しは約3800キログラム。70年代半ばは千キログラム、もっとも多かった80年代前半は5千キログラム。

 C型肝炎ウイルスが見つかり、検査が導入されたのは89年以降。92年にはより精度の高い検査法となり、感染危険性はほとんどなくなった。

 グロブリン製剤は、血液から赤血球などを除いた「血漿成分」にエタノールなどを加え、遠心分離などを繰り返し、徐々に成分を取りだしてつくる「血漿分画製剤」。

 凝固第8因子、第9因子、フィブリノゲン、グロブリンなどの順番で抽出され、製造工程を重ねるごとに肝炎ウイルスなどは死滅するとされてきた。

 田辺三菱製薬広報室は「当社の知る限り、グロブリンによる肝炎感染の事例は過去にない。当時最新の安全対策はとっているはず。現在厚生労働省の指示ですべての血液製剤について調査中なので、詳しいコメントは控える」としている。         (田辺功)

グロブリンも感染汚染
問われる「全員救済」
《解説》………(前半部分は、C型肝炎訴訟に関する解説のため、省略)
 血液製剤の原料はかつて輸入製剤に頼っていたが、現在はほぼ国内献血で賄う。92年以降は精度の高い検査法が導入され、危険性はほぼなくなった。処理方法も進んでおり、安全性は格段に高まっている。ただ92年より前に手術や治療で輸血や血液製剤の投与を受けた可能性のある人は、保険所など無料で受けられる肝炎検査を受け、感染の有無を確かめた方がよい。医療機関で、カルテなどで使用を確認できる可能性もある。
     ………(以下、省略)